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「集まれ!親子で帰国子女」座談会イベントレポート

親子で帰国子女

EDUBAL more!では2023年11月13日(月)に「集まれ!親子で帰国子女」と題した座談会を開催いたしました。イベントでは、参加者のみなさんの親子で悩んだ道のりやそれぞれの思いに触れることができ、とても有意義な時間でした。今回はそのイベントで語られた内容をみなさんと共有することで、少しでも帰国子女のわが子がどのように海外生活を捉えているか、親としてはどんなふうに海外で子どもを育てていくのがベストなのかを考えるきっかけになればと思い、記事にまとめてみなさんにご紹介したいと思います。

今回イベントに参加したメンバーは、親子で帰国子女であるEDUBALアンバサダー2名と会員のみなさま。今回はEDUBALアンバサダー葉子のお子さんの葉月さんにもご参加いただき、子どもからの視点や当時感じたことなども語っていただきました。
 


Edu-more plus

目次

  1. 登壇者と参加者プロフィール
  2. 当時の帰国受験や帰国子女の現状について
  3. 親にしてもらってよかったこと・困ったこと
  4. 帯同した子どもの思いは
  5. 英語と日本語、どちらに軸足を置くか
  6. 最後に一言
  7. アンバサダー感想
  8. 帰国子女入試対策、学習サポートはEDUBALへ!

それでは、まず今回のイベントでお話をいただいた方々のプロフィールをご紹介します。

登壇者と参加者プロフィール

アンバサダー葉子(以下、葉子)
アメリカに自分自身は子ども時代に5年弱、大学生のときに1年滞在経験がある。
子ども3人を帯同して7年間アメリカに滞在した経験を持つ。親子ともに帰国受験を経験。

アンバサダーErina(以下、Erina)
アメリカで子ども時代に6年半、学生時代に1年過ごした経験がある。
ドイツにも子ども時代に通算4年半滞在。
子どもたちを帯同してドイツに2年、アメリカに3年滞在。親子ともに帰国受験を経験。

葉月さん
アンバサダー葉子の長女であり、現在は帰国受験した国立大学の3年生。
EDUBALの学生インターン。

参加者Iさん
子ども時代にアメリカに2年、イギリスに6年の滞在経験がある。
現在は欧州に家族で駐在中。
インターに在籍するお子さんがいる。

当時の帰国受験や帰国子女の現状について

当時の帰国受験や帰国子女の現状についてどういう印象がありますか?

葉子
当時は日本語が怪しい帰国子女がとても多かった。私自身は補習校には通っていなかったし、一時帰国も5年に一度だけで日本の学校生活や同年代の子たちと触れる機会もなかった。情報がたくさん溢れている今の時代と比べると、まさに浦島太郎状態。日本の勉強は昔と比べて今は負荷が増えていると思う。

Erina
とくに現地校に通っていた当時の帰国生は、あまり受験対策や日本の学習フォローをしていない人も多かった印象。私は中学2年のときにスライドでアメリカからドイツに移り、そこで全日制の日本人学校に通ったが、通塾している同級生が多くて驚いた。

子どもたちを帯同して渡米し、戻ってきたときに長女の帰国高校受験を経験したが、昔と違って帰国入試の難易度も上がっているので、きちんとした対策をしていないと合格できないのではと肌で感じた。

親にしてもらってよかったこと・困ったこと

当時親にしてもらってよかったから子どもにもやっている、もしくはやってもらっていたけど困ったから子どもにはしていないことはありますか?

Erina
日本人としての物事の考え方、価値観を親にはしっかり教えられていた。母は日米どちらの行事も大切にしていたが、家の中は基本的に「日本」だったので、6年半いて兄弟間で英語になることはなかった。日本に戻ってからカルチャーショックは少なからずあったものの、わりとスムーズに適応できたのは両親のおかげ。アメリカ生活が長すぎて、日本に対する憧れもあったことも適応が早かった理由だと思う。振り返ってみると、自分も子どもたちに対しても同じようにしてきたと感じている。

葉子
基本的に自分が親にされたように、私も子どもたちにしていたと思う。まず子どもたちを連れて渡米した際に、補習校に入れるかどうかで夫婦間で意見がくい違ったものの、結果的には土曜日に学校に行くのは、親にも子どもにも負担になるということで通わせなかった。それは、自分自身が子どもの頃に補習校なしで過ごしてきて、帰国後もどうにかなるという過去の経験があったことも大きい。

子どもたちを帯同したときは、なるべく現地の子と遊ぶように仕向けたり、日本のテレビは見せないし、自分も見ないことを徹底した。おかげで子どもたちはすっかり現地人化したのはうれしい誤算。でも帰国してから言葉や学習面での苦労を見ていると、少しやりすぎだったのではと思ったりもした。でも、そうでもしなければアメリカにここまでなじめなかったのでは…と今でも思う。

Iさん
自分が小学3年のときに帰国したときに苦労したので、日本語教育は海外にいても並行すべきと考え、現在子どもたちは補習校には通わせているが、習い事と重なるので毎週通うことができない現状。いまは習い事の回数を減らすべきか悩んでいる。

帯同した子どもの思いは

帯同した子どもとしてはどう感じてますか?

葉月さん
アメリカでは補習校に通っていなかったので、日本人の友達もまったくいなくて現地の友達だけだったので、だいぶアメリカナイズされたと思う。両親も同じように海外経験を経て、大学に入って最後に大人になった「完成形としての帰国子女」を私は見ているので、頭では大丈夫なんだろうなという考えがあった。でも日本に帰ってきてみて、こんなに過酷で大変なことなんだと衝撃を受けた。

両親だけではなく、祖父母などの親戚も海外経験があり、海外での経験を肯定的に捉えていてオープンに表現している。小さい頃からそういう環境にいたので、渡米が決まったときもみんなと同じ経験ができることをうれしく思った。アメリカに行ったことを、一度も嫌だと思ったことがない。それは親が海外経験をポジティブなものとして伝えてくれていたおかげだと思う。

英語と日本語、どちらに軸足を置くか

家庭の方針として生活言語を日本語にするのか、英語にするのか。どちらに軸足を置くかという問題があります。どうバランスを取るのかも難しいですが、みなさんは当時どうしていましたか?

葉子
ブレないことが大切だと思う。英語と日本語のバランスを取らないと決めたら、取らないと徹底する。在米中に子どもたちが3人とも英語ばかりを話していたときは、これは英語に振り切りすぎたかなと内心焦ったこともあった。でもずっと「日本語は帰ってから勉強すればいい」と子どもたちに言ってきた手前、自分が不安を感じたからといって突然方針を変えるのは親としてダメだなと思った。

Erina
わが家の場合は、なるべく子どもたちに負担をかけないようにしていた。長女が小6のときに渡米したので、現地校の勉強も大変な学齢で、同時進行で日系塾に通わせるのは酷だなと思い、また本人の希望もあり通わせなかった。そのかわりに現地校と補習校の両方の勉強をがんばろうと徹底していた。でも帰国してから日本の勉強の遅れをとても感じたので、在米中も塾に通わせた方がよかったのかなとも思った。

わが家は渡米してすぐにコロナ禍に突入したこともあり、渡米してしばらく英語教育をまともに受けられない時期があった。そのせいで予想していたほど英語力が身につかなかったこともあり、英語の方に振り切れなかった。

最後に一言

最後にみなさんから一言ずつお願いします。

Iさん
みなさんの貴重な話はとても参考になった。親も帰国子女ということで共感できる話もたくさんあり、帯同したお子さんの気持ちも葉月さんから伺うことができたのもよかった。今回参加してみて思ったことは「親がブレない」ことの大切さ。親が安定感を持って、ブレずに進んでいる姿を子どもたちに見せないといけないと思った。

葉子
帰国子女でない親のみなさんに伝えたいのは、帰国子女である親は帰国子女であるからこそ、子どもに対して「私もやってきたんだから」と厳しくなっている部分もあるということ。だから海外生活のない方は、帰国子女のことがわからないなりのよさもあると思う。私の場合は、親がまったく英語ができなかったので「すごい!自分にはできない!」と言われ続けてきたことが、いま振り返ると自分にとってはよかったのかなと思う。

Erina
私も葉子さんと同じで、子ども時代の海外経験があるために、どこかでどうにかなるという気持ちがあった。帰国して娘が帰国受験対策で塾に通い始めてから、自分の帰国受験していた時代とは変わったんだなと強く感じた。自分の時代でやっていたような受験対策では不十分で、また過去の経験から「どうにかなる」という気持ちもあり、結果的には現地での受験対策より学校生活の充実を優先させる結果になった。これが正しかったかは今でもわからない。でも自分が帰国子女だからこそ子どもたちに共感・共有できることはたくさんあり、つらいときは気持ちの上で寄り添うことができたり、また英日できるので現地校・補習校の両方の学習サポートができたことはよかったと思う。

葉月さん
私は両親がどちらも帰国子女ということで、両親に対して憧れの混じったプレッシャーを感じることがあった。とくに最初の3年はずっと親に及ばないのではと感じていた。ネットがあるおかげで、海外にいても日本は近くに感じられるが、物理的には距離がある。やはり近くで支えてくれる両親の存在は大きい。

母が話していたブレない軸の話も、子どものために常にベストのことをしてあげたいという気持ちからくるものだと思う。「私のことわかってない」と思うことがあっても、ずっと心の中で母の気持ちを感じていた。親との関係性は海外生活を経て縮まったと思う。それは日本に帰ってからも、辛いことがあってもチャレンジできるという自信につながっている。親も子どもも揺らぐことはあるけれど、親のみなさんには親が子どものことを考えてくれていることを、子どもとしてはきちんと受け取っていることを伝えたいと思う。

アンバサダー感想

海外生活経験のある母が、海外で同じように帰国子女を育てること。個人的には、自分の経験をこんな風に活かせる!と、海外生活に入る前は少なからず想像していました。でも実際は、その過去の経験が必ずしもプラスにばかり作用してくれない。今回みなさんとのお話を通して、それはわが家に限ったことではない…と知ることができたのは、とても心強いものでした。
一番アテにすべきは過去の経験よりも「自分がこうと決めたら最後まで貫く!」という自分のブレない軸。なによりも多少ブレることはあっても、子どもは親のメッセージをきちんと受け取っているよ。だから大丈夫!と、あらゆる母たちの背中を押してくれる温かい言葉で締めくくることのできた、本当に素敵な会でした。お子さんの真意を見通す目に、ガシッと胸を掴まれ、目の奥からこみ上げてくるものが…。
海外生活が終わっても、帰国子女の子育てはまだ続きます。これから先の時間においても、わが子にとって揺らぎのない軸としての存在でいることの大切さ。しっかりと心に留めておきたいと思います。

著者プロフィール
EDUBALアンバサダー
夫の海外赴任に帯同し、家族でドイツとアメリカに合わせて5年在住後に、長女の帰国子女高校受験を経験。筆者自身も海外在住歴12年の帰国子女であることから、さまざまな視点から海外での教育や生活を通じて感じたことを中心に綴ります。

最後に

「集まれ!親子で帰国子女」のイベントレポートはいかがでしたか?海外生活はただでさえいろんな悩みがつきもの。不安の多い海外でお子さんを育てていく上で、考えることはたくさんあります。Edu-more plusでは、そんな海外での生活や子育て、帰国受験に関わるお悩みに応えられる経験者が多数います。ぜひご気軽にご相談ください。

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