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神奈川県立横浜国際高等学校は県内の公立高校としては初の国際バカロレア(IB)認定校です。今年度から1期生25名の生徒さんがDP取得に向けて勉強をしています。
横浜国際高等学校は国際科を持つ単位制高校という特色を活かし、より国際教育に力を入れるべくIB導入に踏み切ったそうです。現在国際バカロレアを受けている生徒のほぼ全員が海外大学を目指している、というほど国際志向の強い学校となっています。
今回はそんな横浜国際高等学校にEDUBALスタッフがインタビューをして参りました!本記事では、横浜国際高等学校のIBコース導入のきっかけや、その魅力に迫ります。
坂の上にある立派な校舎。生徒は制服の人も私服の人もいて、自由な校風が感じられます。
インタビューさせていただいた先生方
校長 桜田先生
「横浜国際高等学校の国際バカロレアコースではディスカッションや探究などのアクティビティをメインとした授業を多く実施しています。日本の従来の授業のように講義形式で授業を聞くだけ、ということはありません」
数学科教諭 木村先生
「英語だけの学びだけでなくデュアルランゲージならではの学びを大事にしたいと考えています。ぜひ帰国子女のみなさんにも横浜国際高等学校に来ていただきたいです」
国語科教諭 小岩井先生
「本校は本当に色々な生徒を受け入れている学校なので、帰国子女でも日本の生徒でも違和感なく馴染むことができます。IBコースでは、ディスカッションを通して探究を深めていきますので、そのような授業に興味がある方はぜひ入学していただきたいです」
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インタビューに入る前に、横浜国際高等学校における国際バカロレアコースの仕組みについておさらいしましょう。
横浜国際高等学校での国際バカロレアコースのカリキュラムは、デュアル・ランゲージ(Dual Language)プログラムを採用しています。この場合は、English A、B及び数学の授業が英語で行われ、歴史・物理・化学・生物・音楽は日本語で行われます。日本語IBや英語IBのプログラムが多い中で、日本語と英語の両方で国際バカロレアを学ぶことができるのは、この学校の大きな魅力と言えるでしょう。帰国子女の学生も、日本語力や英語力のどちらかを落とさずに、バランスよく日本で学習を進めることができるため、近年この学校の人気が高まってきているのも納得ですね。
横浜国際高等学校の3年間のカリキュラムは、以下のようになっています。
1年次(4~12月) | 言語文化、公共、地理総合、数学I、科学と人間生活、体育、保健、音楽I、ディベート・ディスカッションI、アカデミックライティング/英語以外の外国語★、総合的な探究の時間、LHR |
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1年次(1~3月) | 体育、保健、アカデミックライティング/英語以外の外国語、LHR、DP科目(「コア」を含む) |
2年次 | 体育、保健、家庭基礎、IB課題論文、LHR、DP科目(「コア」を含む) |
3年次 | 体育、情報I、IB課題論文、LHR、DP科目(「コア」を含む) |
このカリキュラムの特徴は、1年次からスムーズにIBカリキュラムに移行できるような準備ができるところと言えるでしょう。通常、IBコースは2年次と3年次の2年間ですが、横浜国際高等学校では、1年生の間からアカデミックライティングやIBDPのコア科目(EE,TOK,CAS)を学び始めることで、本格的に2年次に進級しても、躓くことなく学習を始められるでしょう。IBDPの仕組みは非常に複雑なため、学生が理解して学習できるようになるまで時間がかかります。この点からも、横浜国際高等学校の手厚い学習サポートが見てとれます。
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スピーチコンテストなどが行われる国際交流ホール。特注の世界時計とモザイク画が印象的でした
ー先生方が考える横浜国際の一番誇るべきところについて教えてください。
「生徒も教員もお互いの多様性を認め合い、リスペクトしていると思います。生徒の中には帰国子女もたくさんいますし、保護者が外国人の生徒や、留学生も多く通っています。生徒はもちろん教員もネイティブの先生が多く、様々なバックグラウンドを持つ人たちと関係を築きながら学校生活を送ることができます。他の学校では異なるバックグラウンドを持った生徒は浮いてしまうことがあるかもしれませんが、横浜国際ではそういったことはありません。色々な人がそれぞれ違う意見を持っている、というのが生徒・教員両者にとって当たり前になっています」(校長先生)
ー横浜国際高等学校にはIBコース以外に国際科本体がありますね。国際科本体にはどのような生徒が通っていますか?
「国際科本体は言語に関連した科目を多く取ることができるコースで、自分で選択科目を選ぶ単位制です。第二外国語は6言語から選べるなど、自由度が高い授業の組み方ができるので、元々外国語が好きな生徒が入学してくることが多いです。そのような生徒に対して言語に関連した授業を提供するのが国際科本体の特徴です」(校長先生)
ーDPが始まるのは来年ですが、1年生の段階からIBに向けて準備する授業をされています。従来の授業との変化はありますか?
「IBとは何なのかを考えさせられる機会がとても多いです。本校では中学生を対象にした体験授業を実施していますが、肝になるのがIB教育の魅力を伝えることだと思っています。45分という限られた時間の中でどうIBを魅せるか、そもそもIBの教育って何なんだ?というのを考えることが以前と比べてとても増えました」(木村先生)
ー先生方が読者のみなさんにIBの魅力を伝えるとしたら、どう表現されますか?
「IBの一番の魅力は枠にとらわれないことです。授業内で教科書を使うこともありますが、自分で読みたい本や文章を読むことができる、カリキュラムの中でも自分がやりたいことを突き詰められるのがIBの魅力だと思います。教員が指導内容を決めるのではなく、生徒自身が『これがやりたい』と思うものができるのが他にはない魅力です」(小岩井先生)
「数学に関しても、最後に内部評価という形でIA(Internal Assessment)は評価されるのでそれを本気になって書かないといけないような仕組みになっています。数学と現実をいかに繋げるかが焦点になっていくので、それを生徒と一緒に探究できるのが一番楽しいです」(木村先生)
Internal Assessmentとは、IBDPの教育課程で行われる各教科での論文や実技のことです。詳しくは以下の記事をご覧ください。
IB(国際バカロレア)Internal Assessmentって何?詳しい説明が知りたい!
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木村先生の数学の授業の様子。実際にサイコロを用いた、確率の授業が行われていました。
ーIBコースを受けている生徒は、文系・理系どちらの志望が多いですか?
「言語自体に興味のある生徒は多いと思います。そのような生徒は、English BもHLを志望していますね」(木村先生)
「元々本校は90%以上の生徒が文系に進む学校でしたので、IBを始めたことで理系志望の生徒が増えたのはとても嬉しく思います。近隣の学校との違いを明確にしつつIBの特色を活かしたいと考え、理系科目も充実させました。化学・生物・数学を全てSL/HLの両方で開講しており、物理はHLで開講しています。さらに、来年度はEnglish Aを開講する予定です」(校長先生)
ーDPが実際に始まる前の高校1年生の段階でどのようにDPに向けて準備をしていますか?
「高校1年生の段階ではそもそもIBの学び方がわからない生徒がほとんどなので、『IBの学び方を学ぶ』というのを4月から12月までのテーマとして設定してます。その中でEEや、CAS、TOKの前準備なども行なっています」(校長先生)
「IBの勉強を4月から始めて、今3ヶ月ほど経った頃ですが、生徒たちはたくさん出る課題をこなしていくのがなかなか難しいと感じているようです。そんな中でも生徒たちが頑張って乗り越えている姿に日々成長を感じます」(木村先生)
ーIBを指導するに当たって先生方が授業で工夫している点などを教えてください。
「数学においては1つのハードルとして英語で受けるということがあります。もちろん英語で授業を受けることが本質ではありませんが、どうしたら母国語ではない言語でもわかりやすくできるか、という点に現在は意識を向けています。ゆくゆくは言語はツールとして考え、数学の内容を議論しあうような本質的な学びに力を入れたいです」(木村先生)
「国語の授業ではなるべくこちらから答えを出さないように気をつけています。生徒になるべく意見を出してもらった上で、さらに自分でもう一段階突っ込んで、1つの意見に対して別の視点でも考えることができるとよりステップアップできるのではないかと考えています。より多くの視点で考えることができることに気づいてもらうのが現在の『学び方を学んでいる』段階ですね」(小岩井先生)
ー授業外で、生徒たちをIBの学習者として育てるために工夫していることはありますか?
「数学では数学探究フィールドワークを5月に実施しました。学校内だけで数学を学ぶのではなく、外に出て数学的なものを見つけようという趣旨で行いました。東京理科大学の数学体験館に行って施設内で発見・経験した数学的事柄について論文を書くというプロジェクトです。IAの準備としてこのフィールドワークを行いました。IBの数学は実生活に関連したものを扱うことも多いので、数学とリアルを繋げたいと思っています。生徒の中にはハニカム構造の強度について実際に実験をし、それについて論文を書いた生徒もいますよ」(木村先生)
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ーIBコースを選択する生徒はどのような方が多いですか?今までの生徒との違いはありますか?
「私は国際科本体とIBコース両方で指導をしているのですが、どちらのコースの生徒も気質としては共通点が多いと感じます。ただ、やはりIBコースの生徒たちは『自分たちで調べて探究していこう』という気持ちをより強く持っていますね。国際科本体の生徒たちと比べても、こちらが何か質問を投げかけた時に自分たちで調べて答えを導き出す習慣が身についているように感じます。国際科本体の生徒にも共通しますが、生徒みんなで話し合って答えを見つけ出す場面をよく目にします。いきなりディスカッションを始めて大丈夫かな、と思っていましたが、チャレンジ精神の強い生徒が多く、自分たちでどんどん進めようする姿が印象的でした」(小岩井先生)
「現在のIBコースの生徒はまだ校舎ができていない中で募集をして受けてきてくれた生徒たちなので、先が見えない中でも挑戦してみたいという気持ちを持つ生徒が非常に多いと思います」(木村先生)
「まだ認定を受けていない中でこの学校を受験してきてくれて、まさにIBの学習者像にある挑戦する人に当てはまるなと思いましたね」(校長先生)
ー現在の1期生はほぼ全員が海外大学進学を目指しているそうですね。現段階ではどのようなサポートをされていますか?
「IBクラスの担任をしているので、2週間に1回くらいのペースで自分が希望する進路について調べて発表する場を設けています。まずは海外大学など今とは全く違う環境の大学についても色々調べて視野を広げた上で、自分の進みたい進路を決めて欲しいと思っています」(木村先生)
横浜国際高等学校の入試情報
国際科本体・国際バカロレアコースのそれぞれで、共通選抜及び帰国生徒募集が行われています。
詳しい情報は公式サイトを御覧ください。
2019年度 第2回学校説明会
10月26日(土) 10:00~11:30(Ⅰ部)、14:00~15:30(Ⅱ部)
横浜国際高校の体育館にて実施されます。事前申込みは不要。詳しくは公式サイトを御覧ください。
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今回の取材では、IBコース1期生の生徒さん3人にもインタビューさせていただきました。草柳さん、菅原さん、花田さんの3人が質問に答えてくれました
ーどうして国際バカロレアを学ぼうと思ったのかを教えてください。
「私は5年間韓国に住んでいたこともあり、国際的なことに興味があって、色々な人たちと関わってみたいと思っています。また、IBのことは小学生の頃から知っていて、面白そうだなと思っていました。横浜国際では国際交流もIBもできそうなので、この学校を選びました」(草柳さん)
「僕は元々英語が好きで、両親も海外に住んでいたということもあり小さい頃から英語に触れる機会が多くありました。そうした経験を経て、英語に特化した勉強ができる学校で学びたいと思い横浜国際高等学校を選びました。始めは国際科本体を志望していたのですが、後からIBコースを知りました。将来は海外で働きたいと思っているので、海外大学進学にも利用できるIBは魅力的でした。また、世界共通の学びというのが自分にとってとても新鮮に感じてチャレンジしてみようと思いました」(菅原さん)
「私がIBコースを選んだ理由は、自分が知らないことを学びたいと思ったからです。今の日本の学校の授業では先生から与えられた問題を解くのが普通で、社会に出てもリーダーシップをとる人より、リーダーが与えた問題を解く人が多いと思います。私は将来起業家になりたいと思っていて、リーダーシップを学ぶために国際バカロレアを選びました」(花田さん)
ーまだDPが本格的に始まる前ですが、DPに対する不安や期待などはありますか?
「一番心配なのは英語力です。私自身英語のレベルは市立の中学校で少しできる方くらいだったので、まずその程度の英語力で授業についていけるのかという不安はあります。また、1年生の時点で論文を書く機会が多く、中学校で論文を書くという機会はなかなかなかなく書き方にあまり慣れていないので、未だ練習の段階ではありますが不安はあります」(草柳さん)
「私は国際バカロレアに対しては楽しみなことが多いです。高校生になって課題は増えましたが、知らないことを学べるのが楽しいです」(花田さん)
ー今IBコースの同級生は、どんな人が多いですか?
「クラスのみんなは個性的な人が多いですが、全員に共通して言えるのは誰かが意見を言っている時に『え〜?』という反応をしないことです。ディスカッションの時に自分と違う意見を持つ人がいても、ただ否定するのではなく『それはこうなんじゃない?』ときちんと反論できます。みんな単純にディスカッションが楽しくて、そういう場が好きなんだと感じています」(菅原さん)
ー国際バカロレアコースを担当されている先生方にはどんな人が多いですか?
「経歴がすごい先生が多いです。こんな方が高校の先生なんだ、と驚きました。例えば木村先生は青年海外協力隊の経験があり、当時のお話は面白いです。また、IBに対する知識が豊富な先生がほとんどで、とても頼りになります」(菅原さん)
ー実際に横浜国際高等学校でIBを学んでみて、驚いたことなどはありますか?
「みんな違うバックグラウンドがあって、違う意見があったら反論されたりしますが、そういう議論を通じて自分の中でも今までと違う意見が生まれてくるようになりました」(花田さん)
「中学校の頃もディスカッションの授業はあったんですが、1人積極的な子が発言して他の子がそれに合わせることが多かったです。高校に入ってからはそれぞれが自分の意見をしっかり持っていて、それを出し合いながらより知識を深めたり、結論が最初と全然違うものになったりすることが多くなりました」(草柳さん)
「入学してからすぐ授業でパソコンを使いますと言われたのが衝撃的でした。授業でパソコンを使えるのは純粋に嬉しかったですが、タイピングが得意ではなかったので自分の中では挑戦でもありました」(菅原さん)
ー今の時点で将来の夢はありますか?
「私は大学で国際関係学を勉強したいと思っています。外交官になるのが夢です。韓国と日本の関係など、国同士の問題で一番傷つくのは子供達で、自分でそういう環境を経験してきた身として、それをいい方向に改善したいと思い、外交官になりたいと思っています」(草柳さん)
今回は神奈川県の公立高校としては初のIB認定校、横浜国際高等学校のIBコースについてのインタビューをしました!いかがでしたでしょうか?
今年度からIBコースが始まったとは思えないほど、生徒さんや先生方のIBに対する意識が高くとても刺激的でした!
特に先生方がIBの学びの理解を深めるために行なっているフィールドワークなどの取り組みは、他にはないユニークな指導だと感じました。また、日本の一条校では、科目選択の幅が限定されていることが多いですが、横浜国際高校では理系科目の選択の幅が多く、来年からEnglish Aの開講も予定されているのも魅力的です!国内のIB入試や海外大進学で有利に働くでしょう。
EDUBALは難関大学に通う帰国子女や元IB生の大学生教師と、家庭教師を探している現役IB生やPre IB生をつなぐオンライン家庭教師サービスです。
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これまでにも、
・IB校の受験対策がしたい!
・IBが始まる前に先取りで予習をしたい!
・海外大受験・国内大学のIB受験について相談したい!
などのお悩みを抱えた生徒さまに、IBを経験した大学生の教師をご紹介し、
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EDUBALには約600名のIB経験者の大学生が教師登録をしています。
実際にIBで高得点を取得した教師が、自らの経験に基づいてIBに向けた準備をサポートいたします。
東京大学や京都大学をはじめとする国内外の難関大学に通っている教師や、IBで40点以上を取得している教師も多く在籍しています。
実際に、EDUBALを受講した方からは、
「実際にIBを経験した方だったので、的確な指導をしてもらえた上に、日本語で教えていただけたことで今まで分からなかった点が理解できるようになりました。」
「担当の先生も過去に私と同じように英語力に悩んでいた経験があり、同じ悩みを抱えていた先生から指導を受けることができたのでとても参考になりました。」
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とても真面目な先生に計画的に指導していただいています。 おかげでテストで高得点がとれました。
日本語で授業させていただいてますが、説明が分かりやすく質問にも丁寧に答えてくれています。授業科目以外の経験やアドバイスもシェアしていただいてるのでIB全体の参考になり助かっています。
本人とよく相談してレベルに合わせて指導していただいています。
教え方がわかりやすく感謝しています。
生徒の能力、習熟度を把握しながら、生徒がわかるまで繰り返し丁寧に指導していただきました。最初の時に比べて息子の勉強に取り組む姿勢が変わりました。問題が解ける度に喜びを感じているようです。数字にも反映されている事に感謝しております。