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ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London、以下UCL)は1826年に設立されたイギリスの大学で、LSEやキングス・カレッジ・ロンドンなどによって構成されるロンドン大学群の中でも最も歴史のある大学です。設立当時イギリスには、郊外にオックフォード大学とケンブリッジ大学の2校しか大学なかったため、ロンドンで初めて設立された大学でもあります。また、イギリス国内で初めて人種や宗教に関係なく学生を受け入れたり、女性を初めて受け入れてきたという歴史もある、イギリスを代表する大学です。文系理系問わずどの分野も高く評価されていますが、人文科学系、生命科学系の分野では特に高い評価を得ています。
今回は、UCLの魅力と入試情報、選考プロセスをご紹介します。
世界ランキングを見ると、UCLがどういった評価をされている大学なのか客観的に知ることができます。「QS World University Rankings 2021」「QS World University Rankings by Subject 2020」の抜粋をご覧ください。
World University Rankings (世界ランキング) | 第10位 |
---|---|
Life Sciences & Medicine (生命科学系全体) | 第8位 |
Arts & Humanities (人文科学系全体) | 第12位 |
Education & Training (教育学) | 第1位 |
Archaeology (考古学) | 第3位 |
Architecture (建築学) | 第3位 |
Pharmacy & Pharmacology (薬学) | 第5位 |
Psychology (心理学) | 第7位 |
世界ランキングでは毎年10位以内に入り、人文科学系、生命科学系の分野別ランキングでも毎年10位前後です。また、上記以外にも法学や経済学、工学、コンピューターサイエンスなど多くの分野で20位以内に入っており、分野による順位の偏りはあまり見られません。イギリスのトップスクールはLSEやインペリアル・カレッジ・ロンドンのように特定の分野に特化した大学があり、どの分野も満遍なく充実している、というのはUCLの特徴と言えます。
オックスブリッジの2校はどちらもロンドン郊外にあり、ロンドン市内まで少し距離がありますが、UCLはロンドン中心部に位置し、大英博物館やロイヤル・オペラ・ハウスなどが徒歩圏内という好立地です。また、UCLでは1年目の学生は希望すれば必ず寮に入ることができるため、高額になりがちな都市部での生活費を抑えることもできます。部屋のタイプは様々ですが、寮費は2人部屋で月400ポンド(約54,000円)から、1人部屋で月800ポンド(約110,000円)を超えるものまであります。
UCLは世界的に見ても留学生比率が高く、全体の49%、約半数を留学生が占めます(2019-2020年)。そのうち、日本人は交換留学等を除く正規の学生だけで188人在籍しており、学部生は88人、大学院生は100人でした(2019-2020年)。周辺にはLSEやキングス・カレッジ・ロンドン、インペリアル・カレッジ・ロンドンといった大学も多く、それらを含めると相当な人数の日本人学生がいるので、留学先での生活面の不安も少しは解消できるのではないでしょうか。以下は、2019-2020年のUCLの学生数と日本人学生数をまとめた表です。
大学全体(43,836人) | 学部生:19,994人(うち留学生:10,598人) 大学院生:23,842人(うち留学生:10,929人) |
---|---|
日本人学生(188人) | 学部生:88人、大学院生:100人 |
近年の学部入試では、学部の定員約5,000人に対して毎年50,000人以上の出願がありますが、実際には定員より多く合格通知を出すため、実質倍率はおよそ2~3倍になります。UCLの学部入試では、440の専攻の中から希望する専攻を選んで出願するため、専攻の規模や人気によって出願者数や合格者数にばらつきがあります。2019年入学の入試データを抜粋して以下にまとめましたが、実質倍率が2倍に満たない専攻もあれば10倍近い専攻もあることが分かります。
専攻 | 出願数/合格者数/入学者数 |
---|---|
BSc Architecture (建築学) |
2203 / 242 / 114 |
BSc Biomedical Sciences (生物医学) |
1301 / 855 / 112 |
BSc Chemistry (化学) |
486 / 405 / 83 |
BA Archaeology (考古学) |
73 / 50 / 13 |
日本人だけで見ると、合格率は50%を上回ります。全学部の合計ですし、このうちの何割が日本国内の高校から出願したか分かりませんが、毎年多くの学生が出願していることが分かります。日本人に限定して2018年から3年分の入試データをまとめましたが、2020年の入学者数はまだ発表されていないため、今年の入試データに関しては出願者数と合格者数のみになります。
入学年 | 出願数/合格者数/入学者数 |
---|---|
2018年 |
171 / 89 / 20 |
2019年 |
174 / 96 / 26 |
2020年 |
234 / 154 / – |
出願要件は希望する専攻によって多少の違いはありますが、多くの専攻でIBでは45点満点で36〜38点、なおかつHL3科目や特定の科目でそれぞれ一定の成績を収めている必要があります。また、AレベルではAAAやAABといった成績が求められます。ただし、考古学のようにIBだと34点、AレベルだとABBで出願できたり、コンピューター・サイエンスのようにIBだと40点、AレベルだとA*A*Aといった成績を求められる場合もあり、出願要件の厳しさは専攻によって大きく異なる場合があります。また、専攻によって必須科目があったり、自分の作品のポートフォリオが必要だったりと細かい条件が変わってくるため、実際に希望する専攻の出願要件はホームページ上で確認する必要があります。参考として、2021年9月入学者向けの出願条件を抜粋しました。
専攻 | 出願要件 |
---|---|
BSc Architecture (建築学) |
Aレベル: AAB IB: 36、HL3科目合計17以上, 全科目5以上 英語レベル: Standard ※面接では作品のポートフォリオが必要 |
BSc Biomedical Sciences (生物医学) |
Aレベル: AAA、生物と化学でAA IB: 38、HL3科目合計18以上、生物と化学6以上、全科目5以上 英語レベル: Good |
BSc Chemistry (化学) |
Aレベル: AAA、化学必須、生物・物理・数学から1科目必須 IB: 38、HL3科目合計18以上、化学6以上、生物・物理・数学から1科目6以上、全科目5以上 英語レベル: Standard |
BA Archaeology (考古学) |
Aレベル: ABB IB: 34、HL3科目合計16以上、全科目5以上 英語レベル: Good |
また、英語要件は専攻によって異なりますが、大学によって定められたレベルであるStandard、Goodのいずれかを求められる場合がほとんどです。オックスブリッジやアメリカのトップスクールなどランキング上位の大学と比べると、UCLはTOEFL-iBT 100点やIELTS 7.0を求められない場合も多く、TOEFL-iBT 100点やIELTS 7.0を求められたとしてもスピーキングなどの個別要件もそこまで厳しくありません。ただし、上記以外の専攻では哲学のようにAdvancedレベルを求められることもあり、その場合は求められる最低スコアがかなり高くなるため注意が必要です。IB Englishの成績で代替する場合も、成績の要件は比較的易しめに設定されており、TOEFL-iBT、IELTS、IB English以外にも多くの英語試験のスコアを英語要件として提出することができます。以下にStandard、Good、Advancedそれぞれの最低スコアを紹介しているので、確認してみてください。
英語試験 | 最低スコア |
---|---|
TOEFL-iBT |
Standard: 92点、24点以上(R・W)、20点以上(S・L) Good: 100点、24点以上(R・W)、20点以上(S・L) Adavnced: 109点、24点以上(R・W)、20点以上(S・L) |
IELTS (Academic) |
Standard: 6.5、各6.0以上 Good: 7.0、各6.5以上 Adavnced: 7.5、各6.5以上 |
IB English A |
Standard: 4以上(SL・HL) Good: 4以上(SL・HL) Adavnced: 5以上(SL・HL) |
IB English B |
Standard: 6以上(SL)、4以上(HL) Good: 6以上(SL)、4以上(HL) Adavnced: 7以上(SL)、5以上(HL) |
UCLでは、成績要件や英語要件を満たした学生に対し、成績、推薦状、志望理由書(Personal Statement)をもとに書類選考を行います。書類選考では、必要なスキルや能力があるかどうかだけでなく、希望する専攻に対してどれだけのモチベーションを持って出願しているかが見られます。法学などのように事前に外部試験を受けることを求められたり、建築学のように自分の作品のポートフォリオが必要になる場合もあるため、自分が希望する専攻がどういった選考プロセスなのかは注意が必要です。また、Open Daysでは各専攻の紹介や説明をするだけでなく、試験や面接を実施して合否の基準にする専攻もあるため、その場合は実際にUCLに行くことを考えなければいけない可能性があります。
UCLでは、新型コロナウイルスのため、今年のOpen Daysをオンラインで行うことを発表しています。2020年9月入学者向けの情報しか発表されていませんが、英語要件に関しては、一部の英語試験が実施されないからといって英語要件自体を免除することはない、としています。来年以降どうなるのか現段階でははっきりしたことは言えませんが、大学側が柔軟な対応をする一方で、出願要件が易しくなるということは考えにくく、例年通りの基準で必要なものを揃えていく必要がありそうです。
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