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2022年からTOKのカリキュラムが大きく変わることが発表されました。TOKは特殊な科目なので先輩たちにアドバイスを求める方も多いと思います。ただ、新カリキュラムを受ける生徒は「先輩たちのアドバイスはどこまで使えるのか?」といった疑問や不安があるのではないでしょうか。特に評価物(IAとエッセイ)に対する不安が多いと思います。そういった疑問にお答えするために、本記事では旧カリキュラムと新カリキュラム比べながら、どのように変更したのか、また何が同じなのかについてまとめました。
TOKの概要に関してはこちらで詳しく解説しているので参照ください:
IB(国際バカロレア) TOK(Theory of Knowledge)の学習内容や対策法、スコアアップのコツ紹介
従来のTOKでは私たちがどのように知識を生成していたのかについて探求していました。知識生成のプロセスを重視する傾向にありましたが、新カリキュラムではプロセスよりも、知識そのものについて探求するようです。この変更点に伴い、TOKエッセイの質問が知識自体について問うものになる可能性があります。
発表されたカリキュラムによると、KnowledgeとKnowerについてTOKでは探求するようです。Knowledgeは知識そのものについて、そしてKnowerは知識を得る私たちを指しています。これらに焦点を当てることで「私たちの価値観は知識にどのような影響があるのか?」や「私たちが保持している知識はどのような知識なのか?」などの、より私たちに関連する質問を取り上げることができます。今までも「個人的な知識」として個人の知識について探求を行なっていましたが、新カリキュラムではより個人の保持する知識を深掘りするようです。IAとエッセイでは、今まで以上に「私」という存在が重要になることが予想されます。
従来のTOKのIAはプレゼンテーションの方式を採っていました。プレゼンでは実社会にある事例や事柄をTOKの文脈に落とし込み、分析する手法がとられていました。この変更によって、TOKでの評価物はExihibitionとエッセイの2つになりました。
新カリキュラムのIAでは、従来と同じように実社会にある事象をTOKの文脈に落とし込むことが求められています。考え方や流れは従来のIAと似ていますが、発表方法が異なるようです。Exihibitionでは、Real-Life Situation(実社会の例)として作品を3つ展示し、Core Themeか下記のオプションからいずれか一つにつなげる必要があります。そして、各作品がどのようにTOKと関連するかについてのコメンタリーを書くことが求められています。また、プレゼンテーションでは最大3人とグループでプレゼンテーションが可能だったのに対し、Exihibitionは個人で行わなくてはいけません。
従来のカリキュラムでは、AOKはMathematics(数学)・Natural Sciences(自然科学)・Human Sciences(人文科学)・History(歴史)・Arts(芸術)・Ethics(倫理)・Religious Knowledge Systems(宗教的知識の体系)・Indigenous Knowledge Systems(土着の知識の体系)の8種類で構成されていました。新カリキュラムによると、AOKが大きく変わるようです。
2022年からAOKはMathematics(数学)・Natural Sciences(自然科学)・Human Sciences(人文科学)・History(歴史)・Arts(芸術)で構成されます。また、従来では8つのAOKのうち6種類網羅する必要がありましたが、新カリキュラムでは全てのAOKを網羅する必要があるようです。
新カリキュラムでは、上記のAOKの他にTechnology(技術)・Politics(政治)・Religion(宗教)・Indigenous Societies(土着の社会)・Language(言語)のいずれか2つを選択して、学ぶ必要があります。これらのオプションは、従来のAOKから外されてしまったものが含まれているようです。また、新しいIAであるExhibitionはこれらのCore Themeから得た学びから表現していきます。
倫理がAOKから外された代わりに、各AOKを分析する手法になりました。「各AOKでは、どのような倫理的な制約があるのか?」や「倫理はどのようにAOKで作用しているのか?」などの各AOKに特化した質問を探求していくので、従来の「AOKとしての倫理」とは全く異なります。ただし、一般的な善悪など、AOKに特化していない倫理の基礎は変わっていないので、参考にできる部分はあるでしょう。また、エッセイやExihibitionでも倫理を題材にできるようになると思われます。
今までのカリキュラムでは、Knowledge question(知識に関する問い)は評価物(EA・IA)の方向性を定めるためだけに使われていました。例えば、実社会の例をTOKの文脈に落とし込むためにKnowledge Questionを生成していました。従来のカリキュラムではどの程度Knowledge Questionを深掘りするか定められていなかったため、学校によってKnowledge Questionを授業でどの程度取り扱うか異なっていたようです。
新カリキュラムではKnowledge Questionは他の質問とどのように異なるのか探究します。カリキュラムとしてKnowledge Questionの特徴を紹介することが定められています。例えば、Knowledge Questionは決まった答えがないことや知識についての質問であることについて、カリキュラムを通して教えるようです。カリキュラムに組み込まれたことで、ExihibitionやエッセイでのKnowledge Questionが定形化されました。授業で学んだKnowledge Questionをそのまま活かせるようになりました。
新カリキュラムでは従来使われていた分析方法がなくなります。今まではWOKを使ってどのように知識が生成されたのか分析していました。また、知識をカテゴリー化するためにShared Knowledge(共有された知識)とPersonal Knowledge(個人的な知識)を使って分析していました。これらが新カリキュラムではなくなり、代わりとなる分析方法が発表されたようです。
発表された新しいカリキュラムでは、Scope・Method and tools・Perspective・Ethicsの4つを使ってAOKを分析するようです。
「各AOKはどのような分野なのか?」「社会にどのような意義があるのか?」などAOKの概要や核心を探ります。
どのように知識が生成されているのかについて探求するようです。
「私たち個人の価値観がどのような影響をAOKに与えているのか?」など、「私」とAOKの関連性を探ります。
倫理とAOKの関係性や倫理の影響を探求するようです。
上記の4つはAOKを分析するための手法となっているので、WOKと従来のKnowledge Framework(知識に関する枠組み)の代わりになるようです。以上のKnowledge Frameworkを使ってExihibitionやエッセイを書いていく必要があるようです。
TOKの新しいカリキュラムについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?2022年の5月に試験を受ける方からが対象となっているので、まだ「エッセイやIAがどのように運用されていくのか?」などわからないことは多いです。カリキュラムが変更されたからといって先輩たちを頼らないのもったいないので、変更点を踏まえた上で先輩たちに頼るといいでしょう。
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