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11/27(土)に、「1から始めるExtended Essay!~テーマ決定・リサーチクエスチョン編~」を開催しました。このレポートは、本イベントでのパネルトークを簡単にまとめたものです。
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小川さん | University of British Columbia,哲学・政治・経済(PPE)専攻 2年 |
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日本一条校(IB校)出身 | |
HL:Economics, Japanese A Literature, Mathematics SL:Chemistry, English A Language and Literature, Physics |
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EE教科:Japanese A Literature | |
EEのタイトル:「『キノの旅コロシアム』における暴力描写の効果」 | |
斎藤さん | 慶應義塾大学 法学部1年 |
日本の一条校(IB校)出身 | |
HL:English A Language and Literature, Japanese A Literature, History SL:Chemistry, Math, Visual Arts |
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EE教科:History | |
EEのタイトル:どの程度ワイマール憲法はヒトラーの独裁政権を可能にしたか | |
高橋さん | 筑波大学 医学群医学部(2022年4月入学予定) |
マレーシアのインター出身 | |
HL:Math AA, Chemistry, Biology SL:English A Language and Literature, Japanese A Literature, Geography |
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EE教科:Chemistry | |
EEのタイトル:Effects of humidity on Hyaluronic Acid |
(「EE」はExtended Essayの略称です。)
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小川:私がJapanese A Literatureを選んだ理由は主に2つあります。1つ目は英語力に自信がなかったこと、2つ目はJapanese A Literatureの成績が一番高かったためです。この2つの理由は、EEの「やりやすさ」につながります。
斎藤:私はHistoryを選択したのですが、Historyが一番好きだったというのが大きな理由です。Historyはすごく難しいと言われてる教科ではあるのですが、だからこそとてもやりがいがあると思いました。自分が取っている教科の中で、やはりHistoryの授業が一番楽しいなと思っていたのも理由の一つです。加えて、私は現在法学部に在籍していますが、当時も法学部を志望していたので、法学に最も関連がありそうな教科を選んだ背景もあります。
高橋:私はもともとChemistryが好きだったのですが、11年生の頃から日本の医学部を目指し始めました。IBで医学部受験が可能な大学のCriteria(評価規準)やRequirement(必須条件)を調べたときに、いくつかの大学はChemistryかBiologyのいずれかをEEの科目として指定していたため、Chemistryに決めました。
小川:そうですね、やはりお二人のように既に行きたい大学の学部がある程度決まっている方は、それに対する教科を選ぶことで受験の要件を満たせたり、自分のアピールに使うことができますね。既に志望大学が決まっている必要はないですが、もし決まっている方はそれに合わせた教科を選ぶことが重要ですね。
小川:私はEconomicsと迷いました。実際、現在はEconomics関連の学部にいるのですが、昔から本を読むことが好きだったこともあり、Japanese A Literatureの方がやりやすいと思い、最終的にJapaneseで書くことにしました。
高橋: 私はChemistryとBiologyで迷いました。Biologyのデータの収集はバクテリアや生き物を扱う実験の方が多いため、データの収集が難しいというアドバイスを先輩から聞いていました。また、マレーシアはコロナの影響でロックダウンをして学校に行けていなかったため、家でデータの収集ができるChemistryの方が安全な選択だと思い、最終的にChemistryにしました。
斎藤:私はあまり迷った教科というのはなかったのですが、強いて言うならHistoryのEEは他の教科と比べ難しいと聞いていたので、難易度に関する迷いはありました。決め手になったのは先生でした。当時の歴史の先生は、IBに関する知識と経験が豊富で、いつも鋭い指摘を下さる方でした。また、EEは約一年見てもらうことになるのでしっかり指導してくれる方がいいなと思い、良い先生がいるなと思ったHistoryを選びました。
小川:やはり実験・リサーチのしやすさというのは、非常に重要な要素ですね。また、先生や先輩だったり周りの方に相談するのも教科を決める上で非常に助けになると思います。
小川:私が扱った『キノの旅コロシアム』という作品は、私が幼い頃読んで感銘を受けた作品でした。そのため、自分の思い出に残った作品がテーマのインスピレーションになりました。
斎藤: EEのテーマを決める時期に、授業で第二次世界大戦を学んでいる最中だったため、頭の中に第二次世界大戦のことが常にありました。加えて、私の進学先である法学部と何か関連付けられたら今後のためにもつながるとも思っていました。そこでちょうど、ワイマール憲法と日本の憲法のつながりがある可能性について聞いていたので、第二次世界大戦と憲法の両方に関連したテーマを選びました。
高橋:私ももちろんChemistryの先生と色々相談はしましたが、医学部を受けたかったので、医学に関係しているChemistryの実験をしたいと思っていました。テーマ決めのために、IBOが公式サンプルとして提供しているEEを読んだり、RedditというSNSでアイディアを募集したりもしました。そこで色々な方からアイディアを頂き一番気に入ったのは、身近な化粧品や薬でよく使われている材料でEEの実験をするというアイディアでした。
小川:インターネット上の情報だと情報の信憑性(しんぴょうせい)の担保は難しいですが、同じ悩みを持ったIB生が集まる掲示板も有効だと思います。また、IBOは点数が高いEEを公式サンプルとして提供しているので、皆様も一度IBOの公式サイトを見ることをおすすめします。
小川:Language A では純文学作品で書くことが多いですが、『キノの旅コロシアム』はエンタメ作品で、なおかつ比較的新しい作品でした。そのため、始める前は論文のリサーチのしやすさという点が不安でした。しかし、ある程度その作品に関して書かれた論文や、文学作品そのものの暴力描写についての論文を見つけたことで、このテーマで書けると思いました。自分でテーマについてリサーチをあらかじめしておいて、この方向で進めるかどうかが明確になったことが決め手になりました。
斎藤:やはり、自分がこれから知りたいもの、探求したいものは何かを考えたとき、そして進学先とのつながりを考慮した際、私が選んだテーマがその全てを満たしていました。興味関心と進路が最終的な決め手として大きかったと思います。
高橋:私は身近な化粧品にヒアルロン酸がよく入っていることを見つけたあとに、それがどのように医学と関係しているのかをリサーチしました。結果、治療の分野でも使用されていることを発見したことで、Personal Engagementとのつながりを見つけ、ヒアルロン酸でリサーチをしようと決めました。
小川:やはり、自分がなぜそのテーマにしたのかを考えることが非常に重要ですね。また、EEというのは一年間あるいはそれ以上の期間で書いていくので、自分にとって興味のあるもの、意味のあるものではないと意欲的に取り組んでいけないと思います。
小川:実はテーマを変えたくなったことはあまりなかったですが、書いている途中に「これ難しいな」と思ったことは何度もありました。でもやはり、自分が一番興味のあるものだったので、これで書きたい、書いていこうという強い気持ちがありました。また、テーマを決める前にある程度リサーチをしていたのも大きかったです。
斎藤:私もはじめに資料を集めていたということや、もともと自分がやりたいことをやろうと思っていたので、テーマ自体を変えようということはなかったです。しかし、Research Questionは頻繁に変えたりしていました。
高橋:私もテーマ自体を変えたくなったことはあまりなかったですが、実験中にできなかったことや新しいを発見したらResearch Questionを多少変えたりはしていました。
小川:テーマを最初の方でしっかり決めておき、細かい変更がその後必要になったときはテーマ自体というよりはResearch Questionを変えている感じですね。
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小川:私のResearch Questionには「どのような効果があるのか?」というフレーズが含まれています。初めに先生と話したとき、このResearch Questionは明確さに欠け、オープンすぎると言われました。ただ、この表現には主題を表すための効果や臨場感を出すための効果、といった複数の効果について分析する意図が含まれています。そのため、少し明確さに欠けるかもしれない「暴力描写はどのような効果があるのか」という文章にあえてしました。なので、説明の幅と明確さの2つを両立させるのが難しかったポイントです。
斎藤:私が気をつけたのはまず「項目を出せるか」といったところです。それはどういうことかと言うと、私のResearch Questionに「どの程度」という言葉が入っています。歴史でEEやIAを書くときに「どの程度」という言葉を使う際は、位置づけをすることが必要です。したがって、ワイマール憲法との比較対象を見つける必要があったので、まずその比較対象を3つ、または4つ出すことを意識しました。あとは結論が見えるResearch Questionを作ることも気をつけました。それは要するに、Research Questionを決めるときに、最終的な結論までを想定して作るということも大切だと思います。
高橋:私もResearch Questionの答えが一つになってしまわないように気をつけました。特に理系のEEだと結論が一つになってしまうとIAとの区別がつかなくなるので色々な結論が出せるようなResearch Questionを作りました。また、使ったヒアルロン酸の種類の名前とか、どういうところにそのヒアルロン酸が使われていたのかという情報を加えることで、このResearch QuestionがChemistryと区別できるように気をつけました。
小川:やはり、Research Questionの段階で自分のやりたいことと、研究の最後のConclusionをはっきりさせておくことが重要になってきそうですね。
小川:私の場合はほぼ作り直しをしませんでした。なぜなら、Research Questionを作るまでに2,3ヶ月という周りと比べても比較的長く時間をとったからです。
斎藤:私は大きく作り直すというよりはResearch Question内のキーワードを変えたり、フレージングを変えたりはしました。例えば、「どの程度」というフレーズを使うか、「どのように」という言葉を使うかでResearch Questionに変更を加えたりしました。実際のResearch Questionでは、このEEで導き出したい結論に合わせてキーワードを選びました。例えば、「どのように」というキーワードを使うのであれば、流れについての分析などをすると思うのですが、今回私は比較をしたかったので「どの程度」を選びました。また、歴史のEEなので年代の範囲設定にも気を配りながらResearch Questionを少し変えたりしました。
高橋:私もResearch Question内のキーワードを変えたりしました。例えば、最終Research Questionは「1 hour」になっているのですが、初めは15分や30分でした。また、もう既に長いのですが、最初はこれよりも長いResearch Questionでした。そのため、読んでる途中に質問自体が明瞭になるように気をつけて細かいフレージングを何回も変えました。
小川:「どのように」か「どの程度」のフレージングや、30分から1時間の変更など、細かすぎるように見える部分でもResearch Questionではとても重要になってきます。このようなところを自分のConclusion、研究のやりやすさ、そして進行状況に応じて細かく調整していくことでより一貫性のあるEEを書くことができそうですね。
斎藤: 斎藤さんが実際に作成したEEのProposal
教科 | 歴史 |
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トピック | ワイマール憲法 |
リサーチクエスチョン | 当時最も民主的な憲法とされていたワイマール憲法の弱点がどの程度ファシズムへと繋がっていったのかの考察 |
研究の意義 (なぜこの研究が大切なのか) |
民主主義からヒトラーの独裁政権に変わってしまった一つの原因として大統領非常大権などのワイマール憲法の弱点が挙げられると私は考える。憲法とは国を定め、権力を抑える役割をするものであるが、ワイマール憲法という民主的で高く評価されていた憲法がドイツにあったにも関わらず、ヒトラーが独裁者となり、結果第二次世界大戦へと繋がってしまった。第二次世界大戦に繋がった理由は多くあるが、私は憲法に注目して、ワイマール憲法の弱点がどの程度影響したのかということを考察したいと考えた。当時の弱点を特定し、何が原因となって戦争になってしまったかを特定することで、現在の社会にも応用できると考えた。特に今の日本は憲法改正などの問題が多く上がっており、弱点を見つけることが出来れば更なる問題も防ぐことができると考えた。過去の憲法を見直すことで憲法の本来のあり方を再確認し、同じ過ちを犯さないように弱点をなくしていくことに繋がると考えるのでこの研究は大切である。 |
主要文献3冊 | |
池田浩士「ヴァイマル憲法とヒトラーーー戦後民主主義からファシズムへ」岩波書店、2015 | |
林健太郎「ワイマル共和国ーヒトラーを出現させたもの」中央公論新社 | |
長谷部恭男「ナチスの「手口」と緊急事態条項」集英社新書、2017年 |
斎藤:これはEEを始めたばかりの頃に書いたものですが、EEでまずどのような科目・トピックをやりたいか、そしてどういうResearch Questionについて書きたいかを記したものになります。ここで重要だと思うのが、なぜ自分がこの研究をしたいのか、という軸をまず最初に持つことです。軸がしっかりすることによってRQをガラッと変えることがなくなるので、時間の効率性という面からも重要になってくると思います。加えて、RQを一番最初から完璧に定める必要はないということを伝えたいです。最初に軸を持っておけば、RQの細かい変更はいくらでもできると思うので、最初に軸だけ決めておくというのを意識して行うことが重要だと思います。
小川:私も自分の反省点として、Research Questionを学校側の締め切りに追われて焦って決めてしまいました。早いうちから取り組んでおけば、上手に出来たかもしれないと思っています。初めから完璧に出来なくとも、自分の軸をしっかり持っておけば、その後柔軟に対応していくことが出来ると思うので、気負わずにリラックスしてRQを決めてほしいと思います。
斎藤:教科によって異なりますが歴史の場合、良いResearch Questionは根拠を出すことができ、バックアップできる根拠や資料が存在するRQだと思います。また、反論やそれに対する再反論を書くことが出来るものが良いQuestionだと思います。反対に、悪いRQの代表例としては、結論が一つしか出ないRQになります。根拠がなく、一つの結論しか出ないRQは良くないですし、高い評価/点数も取れないと思うので、しっかりとした根拠があって様々な結論が出るようなRQを作るのが大事だと思います。
高橋:私もそう思います。特にChemistryの中では、いくつかの結論が出たときにその結論同士を比較するのもCritical Thinking(批判的思考)の点数になります。反対に、結論が一つしか出ない時点でAnalysis(分析)やEvaluation(評価)、Critical Thinkingで一定の点数しか取れなくなってしまいます。高い点数を取るためには、結論が何個も出せるようなResearch Questionを作ることが大事だと思います。
小川:Criteriaの上で言うとCritical ThinkingはCriteria Cで最も点数が高い部分です。その点において、それぞれのCriteriaは相互に影響しあっているため、Research Questionを決定する段階でCriteriaを意識すると、EE全体の成績向上につながると思います。
良い/悪いRQの特徴(当日使用された資料から抜粋)
(良いRQはIBOより引用、悪いRQはEDUBALスタッフによって作成されました。)
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小川:作品への思い入れが強かったため、主観的になりすぎたり、一つのテーマに執着しすぎたりしたため、柔軟性に欠けてしまいました。もう一度できるとすれば、より客観的に作品を分析することを心がけたいと思います。
斎藤:リサーチが説明的になりすぎたため、批判的思考が失われてしまいました。反論などの議論の筋が通っているかを読み直したり、友達に確認してもらうことが大事だと思いました。
高橋:一つ目は「実験の実験」をするときにしっかり計画をすれば良かったなと反省しています。2つ目はEE全体の構成(構造)をあらかじめ考えておくことが大事だと思います。当時、リサーチや実験の結果を執筆した後に表などを挿入したため、表と内容のバランスを考える時間が長くなってしまいました。
小川:資料分析とEE全体のアウトライン(構成)作りです。春休み明けは授業で忙しくなってしまうため、時間がかかるリサーチや資料分析を休みの間に行うことが有効です。
斎藤:私も同じで、なるべく多くの資料を集め記録する。そして、EEのアウトラインを作成することだと思います。
高橋:私の場合、休み明けに実験が適切に行えるようにしっかりと準備をすることが大事だと思います。
登壇者のEEに費やした時間(当日使用された資料から抜粋)
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EEについて詳しく知ることができ、登壇者の体験談などを含めてとても分かりやすく説明してくれた。
疑問に思っていたことを解決できました。
EEのテーマを決める時のポイントや原稿提出までのタイムラインが分かり大変ありがたく拝聴させて頂きました。
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イベントレポートはいかがだったでしょうか?IBは世界的に見ても、非常に難易度の高いプログラムです。EDUBALはそんなIBや帰国受験のお悩みに応えるため、元IB生や帰国受験経験者の家庭教師が多数在籍しています。指導についての質問やお悩みがある方は、ぜひご気軽にご相談ください。
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EDUBALで家庭教師をつけるかどうか迷われている方は、ぜひ参考にご覧ください。
とても真面目な先生に計画的に指導していただいています。 おかげでテストで高得点がとれました。
日本語で授業させていただいてますが、説明が分かりやすく質問にも丁寧に答えてくれています。授業科目以外の経験やアドバイスもシェアしていただいてるのでIB全体の参考になり助かっています。
本人とよく相談してレベルに合わせて指導していただいています。
教え方がわかりやすく感謝しています。
生徒の能力、習熟度を把握しながら、生徒がわかるまで繰り返し丁寧に指導していただきました。最初の時に比べて息子の勉強に取り組む姿勢が変わりました。問題が解ける度に喜びを感じているようです。数字にも反映されている事に感謝しております。