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今回の「帰国子女体験談~Story of Returnees~」は、アメリカのニュージャージー州から帰国した悠太さんのストーリー。
6年生の夏から3年間現地校に通い、帰国後高校受験を経験、現在は慶應義塾大学の経済学部で学びながらEDUBALでインターンとして活動されている悠太さん。
元々シャイな性格なのに加え、渡米当初は年齢すら英語で言えなかったそうです。いくつもの壁を超えて「アメリカは第二の故郷だと思える場所」と語ってくれました。
それでは、悠太さんのストーリーをご紹介しましょう。
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現地のサッカーチームのみんなとの1枚(後列の左・アメリカ3年目)
アメリカでの生活や学校に馴染むのは大変でしたか?
当初は英語が全く話せない、自分の年齢すら言えない状態でした。現地では日本人がほぼいなく、誰にも頼れませんでした。
1年目は周りが何を言っているのかわからず、ただ辛いだけの日々……。この教科なら大丈夫! とのぞんだ体育ですら、グループ分けで自分の名前を呼ばれているのを聞き取れませんでした。皆が移動する後をなんとなく着いて行き、そこで初めて教科書を取りに図書館に来たんだ! とわかるそんな日もありました。
現地校の授業で印象的なことはありますか?
スピーキングの授業のことです。クラス全員の前で3分間、何も見ずに話をする機会がありました。それは1年目も2年目も3年目も、本当に辛かったです。
元々シャイな性格なので、3分も人前で話をすることは日本語でも考えられないこと、それが英語ですから2倍のストレスです。これ以上、大変なことはないだろうと思っています。
英語力向上のためにどのようなことをしましたか?
スピーキングは渡米後最初の1ヶ月、学校が始まるまでの間に英語アプリを利用しました。
学校が始まってからは、リーディングやライティングは現地校の課題をこなす中で鍛えられました。課題はESLのレポートやアメリカの歴史に関するレポートでした。レポートを書くために色々な文献を調べ、読むことで自然と英語力は向上しました。
リスニングは日本のアニメ、例えばドラえもんやコナンの英語版をYoutubeで見ることからスタートしました。その後、サッカー(現地チームの試合)の実況を毎週のように見ていました。サッカーには世界共通の言葉が多く単語を聞き取ることができ、さらに映像もあるのでどのような内容か予想ができました。その結果、徐々にネイティブの英語が聞き取れるようになりました。何より好きなサッカーのことなのでストレスは全くなく継続できました。今でもサッカーの試合を見て、リスニング力を保持しています。
どのように現地で人間関係を築いていきましたか?
現地校には韓国人が1/3いて同じアジア人として接しやすく、他の子も英語のわからない自分に「お寿司好きだよ〜」「アニメ知ってる!」などの共通話題になりそうなことを話しかけてくれました。
街のサッカーチームでも同じ学校の子が多く参加していたため、スポーツを通して友人ができました。
日本の学習フォローはどうしていましたか?
最初の2年間は毎週土曜日に補習校に通っていて、教科は国語、数学、社会の3教科、30人程度で2クラスでした。
中2からは高校受験を見据えて日系の塾にも通い、国語と数学、中3では3教科(国数英)を受講していました。
数学が苦手で自宅学習のほとんどを塾の数学課題に費やしました。
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一番好きなサッカーチームを観戦した日(アメリカ2年目)/補習校の仲間と撮った思い出の写真(後列の右・アメリカ1年目)
高校受験のための志望校選びについて
東京学芸大附属高校に進学しましたが、候補として他にICU、青学、慶應がありました。選択したポイントは受験科目に理社がないこと、通学しやすいこと、共学であることです。志望校は中3夏頃までに決定しました。
東京学芸大附属校は1/3程度が附属中からの内部生ですが、3校から集まるためそれほど内部の色が濃くありません。学年で15名程度の帰国生が一緒でした。英語面は周りに比べるとアドバンテージを感じられ、現地で頑張ったからこそと思えました。
本帰国後、日本の学校に入学してからの苦労はありましたか?
古文、理社が特に大変でした。高校受験の古文では内容について問われることが多いですが、入学後は文法が中心のため覚えることが多くありました。また、中学時代に理社は学習していなかったので授業で初めて聞く内容でした。
入学後、古文・理社については学校の授業の復習で皆に追いつくように努め塾には通いませんでした。高2からは大学受験に向け数学のみ塾に通いました。
海外では先輩後輩という概念がないため、日本での部活の上下関係に最初は戸惑いました。それほど厳しくなかったのが救いです。
英語の維持はどのようにしましたか?
授業には余裕を持ってついていけたため、特別フォローはしていません。
唯一していたことは大好きなサッカーチームの試合を毎週テレビ観戦し、試合の記事を読んでいたことです。
結果、リーディング、リスニング力は落ちませんでした。
大学での生活について
コロナ禍でオンライン授業が続き、学校に登校するのは必須講座とサークル活動のみです。友人と毎日部活に励んだ高校時代を懐かしく思い、あの頃のように過ごしたいです。
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どちらも現地校前の写真で、左はアメリカ3年目/右は大学2年生の頃に再訪したときの記念撮影
海外生活を振り返って思うこと
様々な背景を持っている人に出会えたことは貴重な経験でした。仲が良くなった友人はイスラエル人で、イスラエルからアメリカへ避難していました。友人から聞く砲弾が飛びかう話には衝撃を受けました。親の仕事の関係でアメリカに来た自分とは全く違う理由、平和な日本、今の自分の暮らしがいかに恵まれているかを実感したのを覚えています。
ご家族や周りの友人はあなたにとってどんな存在でしたか?
両親は日々出される課題に一緒に取り組んでくれました。
更に父は地元サッカーチームにすぐ入会できるよう監督と交渉してくれました。結果的に大好きなサッカーをすることでストレスから解放され、スポーツを通して友人関係を築けました。両親のサポートには今でもとても感謝しています。
また、補習校の友人も大切な存在でした。補習校で過ごす時間は日本語で何不自由なくコミュニケーションがとれる唯一の時間でした。同じ境遇の仲間がいることが心の支えとなっていました。今でも補習校の友人とは一緒に食事や旅行に行っています。
海外生活を振り返って当時の自分にメッセージやアドバイスを送るとしたら?
海外生活のメリットや自分にどう影響するかは、その環境から離れて時間が経たないとわかりません。当時1年目の現地校での時間はただただ辛く、週末のサッカーと補習校だけが救い、2年目以降は少しずつ英語が聞き取れ環境にも慣れてきて、辛い時間が段々楽しい時間へと変わっていきました。
だから、とにかく今は耐えて頑張れ! と言いたいです。
今後やりたいことを教えてください
自分を支えてくれたサッカーを通じて、マーケティング関係の仕事がしたいです。
最後に、メッセージをお願いします
昨年4年ぶりにアメリカを訪れ、住んでいた街にも足を運びました。緑に囲まれた環境にあるサッカー場、学校、家族で過ごした当時の家を見て、住んでいた頃のことが鮮明に思い出されました。辛かったこと、苦しかったこと、その中でサッカーを通じて現地の友人ができたこと、補習校の仲間との絆。
母国語が通じる日本で過ごすことは安心しますが、あの頃の頑張りがあったから、今はどんなことでも超えられる自信につながっていると思います。
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著者プロフィール
EDUBALアンバサダー
バンコク6年、シンガポール3年帯同。
帰国中学・大学、一般中学受験を経験。駐在中の一番の悩みは進路!世界に羽ばたく子供達、それを支える保護者の「こんな情報あったらいいな」をカタチにしたいです。唯一の癒しはパンやお菓子作り。
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