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東京女学館ってどんな学校?〜帰国子女の母親が行ってみた!〜

東京女学館

帰国子女を受け入れている学校に、EDUBALアンバサダーが母親目線で学校訪問をするプロジェクト。今回は渋谷区広尾にある東京女学館中学校・高等学校です。
人工芝のグラウンドに、国際試合にも対応できる広さの体育館。思わず都会の真ん中に居ることを忘れてしまうほど緑豊かなビオトープに、食堂へ通じるシンデレラ階段。校舎の一室には凛とした佇まいの作法室もあります。1998年の校舎新築とともに、教育目標を「高い品性を備え、人と社会に貢献する女性の育成」と定め、中高一貫の6年間を通してインクルーシブリーダーシップ教育を展開する同校に伺いました。

目次

  1. 東京女学館の基礎情報
  2. お話を伺った先生紹介
  3. コース・カリキュラム紹介
  4. 帰国生のフォロー体制
  5. 進学実績
  6. 帰国生入試情報
  7. アンバサダー感想

 

東京女学館の基礎情報

東京女学館左 校舎/右 ビオトープ

渋谷駅、または恵比寿駅から日赤医療センター行きの都営バスに揺られること十数分。広尾駅からも徒歩で12分。静かで落ち着いた広尾・麻布界隈には各国の大使館が集中しており、国際色豊かです。135年の歴史を持つ伝統校、東京女学館。その長い歴史の中で、常に世界に目を向けながら、国際性を備えた教養豊かで気品ある女性の育成を掲げてきました。2004年、建学の精神に立ち返り諸外国の人々と対等に渡り合える真の国際人の育成を目的とし国際学級が生まれ、2024年で20周年を迎えます。

女学館と言えば白のセーラー服にブルーのリボンの組み合わせが清楚!制服に憧れるお子さんがいるのも納得ですね。

お話を伺った先生紹介

東京女学館

【校長 渡部 さなえ 先生】
同校の美術教諭を25年務めた後、教頭、副校長職を経て2020年校長に就任
キャンパス内に飾られた「カドリール・プロムナード」のモザイクアートは渡部校長の原画をモチーフにしたもの

渡部校長先生から帰国生へのメッセージ

渋谷という地の利を生かして芸術、文化の本物に触れて日本に住む私たちが大切にしているアイデンティティを学び、生徒の感性を磨いていきたいと思います。帰国生の及ぼす影響力は大きいので期待するとともに、多様な国際学級で楽しみ成長する生徒の将来を応援したいです。

東京女学館

【クリスタル・ブルネリ先生/国際部部長】
2004年国際学級を立ち上げ、一期生の担任を受け持つ
英語カリキュラム作成に携わり、現在は授業担当ほか高1のBLAST(ボストンリーダーシップ研修)を引率

ブルネリ先生から帰国生へのメッセージ

女学館の国際学級は、将来の夢の実現へ向けて力をつけられるプログラムですので、是非チャレンジ精神をもって入ってきて下さい。私たちはそんな生徒たちを全力で応援していきます。

カリキュラム・プログラム紹介

東京女学館左上:プレゼンの様子 左下:テキスト / 右:英語劇発表の様子

国際学級について教えてください

東京女学館は1学年6クラスあります。5クラスは一般学級で、1クラスが6年間クラス替えのない国際学級です。1クラス40名のうち帰国生が18名、小学校からの内部生が10名(学年で内部進学者は約70名)、その他は一般受験生で構成されています。英語と美術の授業は英語で行われ、中1と中2はネイティブ教員と日本人教員の二人担任制です。

国際学級では3つの柱を大切にしています。1つ目は「Practical English」です。活動や思考の際に英語をツールとして使いこなすことができる力を育成します。2つ目が「Intercultural Understanding」です。多文化コミュニティの中で他者を尊重しながら相互理解を深めます。
3つ目は「Inclusive Leadership」。これは学校全体で掲げている力ですが、特に国際学級は帰国生、内部生、一般生とバックグラウンドが違う生徒から成るクラスなので、学校生活そのものがインクルーシブリーダーシップの実践の場として、日々のチームワークを大切にしています。

英語の授業はLanguage Artsという北米のカリキュラムを本校独自にアレンジした英語圏の現地校に近い授業形態をとっています。
授業は習熟度別の少人数グループで行い、主体的に物事を掘り下げて学んでいく姿勢を培いながら、学年が進むごとに段階的にプレゼンテーションやエッセイ・ライティングなどを課しスキルアップをはかります。

海外研修や1年派遣留学制度に加え、タイ、マレーシア、アメリカ、韓国、オーストラリアの提携校からの留学生を受け入れています。ポーランドとはコロナ禍もオンラインで交流をしました。

<国際学級の主な行事>

中1 オープンスクールでのプレゼンテーション
中3 英語劇「Romeo and Juliet」の上演
高1 ボストンリーダーシップ研修(全員参加)
高2 校内模擬国連

国際学級はメンバーが多様であることからも想像できるように、理解できない事は何度も納得するまで質問しようという雰囲気がクラスにあり、一般学級とはまた違った活気がありとても賑やかです。

当たり前を当たり前としない配慮や、帰国生が声を上げる事ができる雰囲気がクラスにあるのはとても心強いですね。居心地の良さが感じ取れます。

カリキュラムについて教えてください

※2024年度 高校1年生よりカリキュラム変更

中学では全教科を偏りなく学び確かな基礎学力の定着をはかり、高校では豊富な選択授業が用意されているのも東京女学館の特徴です。高2で文理のコースに分かれますが、2024年度の高1より、国際学級でも文理両方のコース選択が可能になり、国際学級に在籍したまま理系コースを選択できるようになります。これにより、国際学級独自の教育を継続したまま、同じクラスの仲間と共に、志す進路の実現を目指せるようになりました。全校的に理系志望者が増加傾向にあることと、国際社会の多様な分野で将来の活躍を応援するための大改革です。

かねてから何度も議題にのぼっていた国際学級での理系選択の道。限られた授業枠に国際の授業と理系選択を納めるのは至難の技だったはずです。生徒の希望を叶えようとする先生方の思いが伝わってきますね。

帰国生フォロー体制

東京女学館左上:アクティブラーニングルーム 左下:ネイティブ教員が常駐/ 右:高2模擬国連の会場となる教室 

帰国生の割合を教えてください

帰国生の割合は一学年約240名の内、約1割弱と学校全体でみると少数ですが、各学年40人1クラスの国際学級の中では帰国生は18人と約半数を占めます。また、帰国生の数には含まれていませんが、一般入試を経て入学していても実は帰国生という生徒も少なからずいます。

帰国生のフォローはどのようなものがありますか。

英語は習熟度別にグループ分けし少人数で行っています。授業は独自の本格的な北米型Language Artsの授業です。また、プログラムに合わせて協働し合う(英検4級から準1級の生徒のミックスグループ)場面も多く、様々な活動や思考を行う際、英語をツールとして活用しています。中学で英検2級以上、高校ではTOEFL iBT80レベルを目標としながら個々の目標に合わせた必要な英語資格の取得に向けて先生が丁寧にサポートしています。

国語は中1の間、1時間多く設定されています。帰国生にとって負担のないようにペースを少しおとしながら、プレゼンテーションなど帰国生が慣れているスタイルを取り入れて、一般生も飽きないようなプログラムとなっています。また、書道も国語の時間内で行います。

数学は特に人によって習熟度にばらつきがあるので、フォローが必要な生徒には放課後指導しています。特に編入生は個別に対応しています。

帰国生の積極性は部活動にも表れています。かるた部(競技かるた)は帰国生が立ち上げた部で、ブルネリ先生が顧問だそうです!

 

進路実績

東京女学館左:高3体育大会で踊るカドリール・プロムナードと歴代の人文字/ 右:シンデレラ階段 

帰国生の進学先傾向について教えてください

【国際学級 進路実績】 https://tjk.jp/mh/international_class/ic_course_career/

これまでは理系の進路を希望する場合、高2から国際学級を離れて一般学級に移る生徒が2〜5名いました。国際系は文系という枠を超えて、2024年度からの改革(国際学級に在籍していながら理系コースが選択可)により生徒一人ひとりの志望する進路の実現に向けて学校としてもサポートしていきたいです。
海外大学進学者は毎年1〜2名います。エッセイ指導や推薦状、SATやTOEFL対策や奨学金など、海外大学進学のためのサポート体制を今後もっと整えていきたいと思っています。
校内にICEC(アイセック)異文化理解教育センターの相談室を設置しました。週3回専門のカウンセラーが常駐し、留学や研修以外、海外の色々なプログラムについて情報を集めています。留学の先にどういった進路が考えられるのか、生徒や保護者からの関心が高まっています。

学校全体の進学実績はいかがでしょうか

【東京女学館 進路実績】 https://tjk.jp/mh/career/results/

国公立、医学部医学科、早慶上智ICU、GMARCHと現役合格者数を年々伸ばしています。本校の一般学級では約80%の生徒が一般選抜で大学入試に挑みます。近年は総合型や推薦型の入試が広まり年内に受験を終える傾向が多い一方で、生徒たちは一般選抜での入試を目指し、結果志望校の合格を掴めていると言えます。

【保護者インタビュー】〜お母様が語る女学館〜
合格を頂いた時、嬉しさとともに格式ある女学館で過ごしていけるのか、内部生もいる中で6年間クラス替えがなくて大丈夫なのか不安がなかったわけではありません。
それに加えて娘は帰国生と言っても滞在国は英語圏ではなく、英語に接するのがほぼ初めてのようなレベルでした。入学時は流暢に英語を操るアメリカからの帰国生に圧倒されましたが、先生方はどのようなレベルの子もとても温かく見守ってくださいました。また、国際学級のプログラムの中で、積極的ではなかった娘が一歩引いてしまうような場面でも「自分もできる」と自信を持つ機会を与えてくださったことも感謝しています。
更に女学館では英語だけでなく、理科の実験をはじめとし日本文化を学ぶことも常に本物に触れる機会が設けられています。また、家庭科は実生活ですぐに役立つことを学びます。英語の強みと長い間女子教育を行ってきた伝統校であることをいかし、国際社会に羽ばたく子供たちを頼もしく思っています。

帰国生入試情報

東京女学館左:第一体育館/ 右上:作法室  右下:顕微鏡も1人1台ある理科実験室 

★詳細は必ず学校ホームページや説明会等でご確認ください。

帰国生入試について

【入試情報】

・募集人数 18名
・試験科目 ①算数(30分/50点)・国語(30分/50点)、または
②算数(30分/50点)・英語(30分/50点)
①か②の選択性、受験者本人のみ面接(約5分)
※英検準2級を取得している場合は、希望により英語試験を免除
(準2級40点・2級45点・準1級以上50点とする。)

【ブルネリ先生からの具体的なアドバイス】

<英語>英検の取得級があれば提出して下さい。
当日のプレッシャーやケアレスミスも起こりうるので、英語の優遇を受けることで、その分を算数の学習に充てるなど対策していただきたいです。英語試験のレベルは準2級レベルの内容です。リスニングはありません。ライティングは問いに対して2文で答えるような意見文です。
<算数>いわゆる受験算数の観点では見ていません。
受験生の答案用紙から、誤答の場合はその原因がケアレスミスなのか、どこまで理解しているのかなど丁寧に判断しています。小学校の学習内容の定着度合いと、入学後に東京女学館でやっていかれるかをみています。
<面接>なぜ国際学級を志望するのか、また海外経験などについての簡単な質問をします。
日本語での受け答えができ、小学6年生なりの自分の言葉で答えられれば大丈夫です。また英語と美術以外は日本語であること、クラス替えがない点についての確認をします。
 ※ 合計点で判定し、足切りはありません。

編入や復学について教えて下さい

毎年中1と中2の9月、中2の4月編入を若干名募集しています。(※中2の9月以降の編入募集はありません。)試験科目は、国語・数学・英語・面接で、英語は同じく英検準2級以上で試験免除があります。面接は国際学級は1クラスでクラス替えがないので、現在あるクラスに加わる覚悟を確認しています。

保護者の海外転勤に伴う場合、高3年4月までは無試験で復学可能です。授業料の半額が必要となりますが、進度やレベルを把握できるよう教材を郵送しています。ただし、入学後1学期間は在籍していただきます。

帰国生入試を一般受験の基準と分けて考え、答案用紙から受験者の理解度まで読み取ってもらえるなんて本当に温かいですね。一時帰国時の学校見学は随時受け付けているそうですよ!

アンバサダー感想

ブルネリ先生の一言一言は正に国際学級の歩みそのもの。これまでのご尽力を紐解いているような重みと愛情に満ちていました。
東京女学館の国際学級、そこは帰国子女のために囲われた居場所ではなく、新たな挑戦の場です。新たなコミュニティの中で、価値観やバックグラウンドも異なる他者同士が、日々歩み寄って助け合っていく。6年という月日をかけて、一人ひとりの豊かな成長と共に、最終的に誰もが解り合える一つの社会(クラス)を築く協働の場です。クラスの誰もが主体的に関わり、信頼を築いていく中で発揮される力こそ、東京女学館の掲げるインクルーシブリーダーシップなのでしょう。生徒の成長を信じる先生方の温かい眼差しは、生徒の大きな原動力になっている気がしました。
東京女学館の国際学級は生徒自ら育んでいくクラス。そこに集った数だけ個性があり、その偶然の出会いがいつしか必然となる。帰国生の皆さん、国際学級の一員となり、あなたの個性で彩ってみてはどうでしょうか。


著者プロフィール
EDUBALアンバサダー
夫のイギリス駐在に家族で帯同し、約6年をロンドンで過ごす。長女は現地校から日本の中学受験を経験し、家族で2023年4月に本帰国。帰国後の帰国子女のあり方を考えながら現在進行形で学習サポート、下の子の学校選びとまだまだ奔走中!

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