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八王子市の緑豊かな環境の中にある工学院大学附属中学校・高等学校(以下、工学院大学附属)。2017年にケンブリッジ・イングリッシュスクール、2021年にケンブリッジ国際校としての認定を受けた、日本初の一条校でもあります。工学院では、世界的に見て国際バカロレアプログラム(IB)よりも学習人口の多い、ケンブリッジ国際カリキュラムを取り入れた教育プログラムを展開しています。理系に強い大学の附属校としてのイメージがありますが、他にはない独自の英語教育やグローバル活動が充実。そして、近年は海外大学合格の実績も着実に伸ばしています。
今回はその気になる工学院大学附属を再訪! インターナショナルコースに焦点を当てて、じっくりとお話を聞いてきました。
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校舎は工学院大学のキャンパス内にあるので、大学と連携した教育活動も盛ん
所在地 | 〒192‐8622 東京都八王子市中野町2647-2 TEL:042‐628‐4914 |
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アクセス | JR・京王 新宿駅、JR・京王 八王子駅、JR・西武 拝島駅、京王 南大沢駅の5つの駅よりスクールバス JR 八王子駅、JR・西武 拝島駅より路線バス |
生徒数 | 中学約340名、高校約820名 中学は4クラス、高校は8~9クラスでコース別の編成 |
帰国生割合 | 帰国生入試で入学する帰国生は毎年5人程度ですが、国内インター出身者や海外生活の経験のある生徒が多数在籍 |
コース | 中学: 先進クラス/インターナショナルクラス 高校: 先進文理コース/文理コース/インターナショナルコース |
帰国生入試 |
中学国内(コースによりいずれか選択): ①英語+面接 ②国語/算数/英語より2科目選択+面接 中学海外入試(海外2会場): コースによりいずれか選択 ①英語+面接 ②国語/算数/英語より2科目選択+面接 中学海外入試(オンライン): コースによりいずれか選択 ①事前課題1⃣に対する口頭試問+面接 ②事前課題1⃣&2⃣に対する口頭試問+面接 高校国内(コースによりいずれか選択): ①英語+面接 ②国語/数学/英語より2科目選択+面接 高校海外入試(海外2会場): コースによりいずれか選択 ①英語+面接 ②国語/算数/英語より2科目選択+面接 高校海外入試(オンライン): コースによりいずれか選択 ①事前課題1⃣に対する口頭試問+面接 ②事前課題1⃣&2⃣に対する口頭試問+面接 |
編入 | 中学・高校ともに年3回編入試験を実施 |
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【校長 中野 由章 先生】
某IT系企業時代に職場で「ジョニー」と呼ばれたのがきっかけで、「ジョニー校長先生」という愛称で生徒たちにも親しまれている。先生考案の「ゼッコーチョー・ジョニーの靴磨き」で、ご自身で生徒さんたちの靴を磨くことを日課としており、生徒とのコミュニケーションを図っている。校長室には昼食を食べに来たり、先生とボードゲームをするために訪れる生徒さんが毎日のようにやってくるとのこと。
【グローバル推進部部長 岡部 憲治 先生】
先進文理コースの英語を担当。米大卒で教員になる前は企業で働いていた経験を持つ。当時より教育関係に興味があり、教員になってからは工学院大学附属で海外プログラム企画や教鞭をとっている。
【Joel Post 先生】
2016年より工学院大学附属の教壇に立つ。山形に住んでいたこともある、日本が大好きな先生。担当の教科はLiterature(英文学)と公共。
中野先生:
自分の学校のことを言うのは手前味噌ではありますが、本当に良い学校だと思っています。インター生に限らずですが、工学院大学附属にはいろんなタイプの生徒や、欧米やアジアなどいろんな地域から集まった生徒がいます。海外で生活してきた経験を持つ人というのは、まわりを見てもなかなかいません。そういうレアな経験をした生徒が学校にいると、まわりが活性化されて、帰国生自身も活きてくる。結果的に、まわりをインスパイアする存在になります。そういう存在である帰国生は、工学院大学附属にとって非常に大切です。
多様な生徒がいる環境なので、入学するとわかると思いますが、帰国生にとってもここは快適な環境だと思っています。中国語やスペイン語など、英語以外の言語を扱える生徒も少数ではありますが、在籍しています。工学院大学附属のグローバル教育は、単にグローバルランゲージである英語を操れるだけではなく、日本のこともよく理解した上で、グローバルに活躍できる人材を育成することを大切にしています。
【2024年度版】帰国子女枠受験でおすすめの中学校ランキング10選
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左:中学1年の理科の授業の様子 / 右:インターナショナルクラスのScienceのテキスト
Joel先生:
インターナショナルコースですが、中学ではインターナショナルクラス、高校ではインターナショナルコースとなっています。帰国生も在籍していますが、一般生もいます。工学院大学附属はケンブリッジ国際校ではありますが、インターナショナルスクールではないので、日本の文科省のカリキュラムに沿って授業を進める必要があります。特に中学では数学と理科では英語イマージョン授業を行っていますが、国語と社会については日本語で授業を行うことで、英語でも日本語でも議論できるバイリンガルの育成を目指しています。また、生徒たちはIGCSE(ケンブリッジ国際中等教育修了証)やAS、Aレベル(国際的な高校卒業資格)の取得を目指すこともできます。
岡部先生:
ケンブリッジ国際カリキュラムは、授業では指定のテキストを使っています。本校では英語、数学、理科、探究論文を中心にケンブリッジ国際カリキュラムに基づいた授業を展開しており、中学1年よりオールイングリッシュで授業を行っています。高校1年からは、理科(物理・化学・生物)については日本語か英語のどちらで学ぶかを選択することができます。生徒たちは、国内大学への進学を希望するのであれば日本語を、海外大学であれば英語を、と進路に合わせて選ぶといった感じです。IGCSEやAS、Aレベルの取得ですが、希望者は年に2回試験を受けるチャンスがあります。
また、英語の授業の一環で中学3年よりPhilosophy(哲学)の授業を実施しており、中3は週に1時間、高校生は週に2時間あり、さまざまなテーマで議論・討論を行っています。英語力を磨くと同時に、他の生徒たちの意見に耳を傾け、自分にない視点や考え方を学ぶ良い時間となっています。もちろん、将来的には総合型やAO型の大学入試に役立つことは言うまでもありません。
生徒さんたちの英語操作能力の高さに驚かされた高校2年生のPhilosophy(哲学)の授業
岡部先生:
中学入学時は先進クラスとインターナショナルクラスに分かれ、高校進学時にはインターナショナルコースを含む3つのコースに分かれます。インターは各学年1クラスで、人数は学年によりばらつきがありますが、平均して1クラス20人程度です。学校全体としての男女比は、男子が65%で女子が35%ですが、インターについては男子6割で女子4割ほどです。帰国生入試はいずれのコースにも入学できるので、インター以外のクラス・コースを希望する帰国生もいます。
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自動車部のソーラーカーは大学から寄贈されたもの
Joel先生:
生徒の進路は学校全体としては理系も文系も半々で、インターコースも特別グローバル系に偏っているわけではないので、男子・女子のどちらも快適に学べる環境であると思っています。高校1・2年生の希望者を対象に、オーストラリアへの3ヶ月留学プログラムがありますが、そういったプログラムの参加者も女子が多いです。また、図書館内にある Fabスペースでは3Dプリンターや教育用マインクラフトを使用して、生徒たちが思い描いたアイデアを形にしながら創作活動を楽しんでいるのですが、こういった活動にも多くの女子生徒が関わっています。文系希望でも、理系希望でも、どんな子も楽しめるのが工学院だと思っています。
Joel先生:
やはりケンブリッジカリキュラムが一番の魅力だと思います。本校の良いところは、日本のカリキュラムの中にケンブリッジカリキュラムを適宜取り入れつつ、独自の教育スタイルを作っているところです。たとえばケンブリッジカリキュラムだと、英文学の授業ではよく詩などの作品を読んだときに、作者がなぜそのような表現を用いて作品づくりをしたのか考えて生徒にエッセイを書いてもらいますが、本校インターコースではエッセイの代わりに、生徒たち自身が詩を書いてみたり、映像を作ったりなどオリジナルの製作活動を展開することもあります。
また教科の中でPBL(プロジェクトベースドラーニング)を取り入れているケースもあり、それぞれのカリキュラムの利点を生かした、授業づくりも良さのひとつです。ケンブリッジカリキュラムをただこなしていくだけだと、進路が狭まってしまう。常に柔軟性をもたせたカリキュラムを心がけています。
Joel先生:
インターコースではIGCSEやAS、Aレベルの授業を展開していますが、到達度試験の受験は希望制になっています。今年も高校2年生の希望者が数名ASレベルの取得に挑戦しています。工学院大学附属はケンブリッジ国際校としての認定を受けているので、生徒たちは試験を本校で受けることができます。AS、Aレベルは海外では大学入学資格として認定されており、Aレベルの取得は海外大学進学を希望している生徒にとっては大きなメリットとなります。
また、これとは別に中学1年生~高校2年生までの全員がケンブリッジ英検を受検します。2023年度の検定では、インター生の59%がB1(英検2級レベル)を取得し、海外で仕事ができるレベルのC2を取得できた生徒が3%という結果でした。
岡部先生:
ROUND SQUAREは世界60カ国180校からなる私立学校連盟で、日本からの参加認定を受けているのは本校を含めて8校です。I.D.E.A.L.S.という理念に基づいた交流プログラムや交換留学プログラム、そして年次国際会議などを中心としたグローバルな活動になっており、昨年は本校主催でバスケットボールの国際親善試合を企画し、スポーツを通した交流を実施しました。今年はコロンビアでの国際会議への参加や、さまざまな学校との交換留学も実施予定です。この活動への参加は任意でありインターコースの生徒に限定していませんが、特に国際会議などは高度な英語力が必要になります。
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校訓にあるように生徒たちの挑戦や創造を大切にする環境
岡部先生:
卒業生ですが、学校全体で見ると6割は国内の私立大学へ進学、3割弱は工学院大学へ内部進学しています。インターコースの卒業生は、8割が国内大学を希望し、それぞれ東京外語大や東京都立大などの国公立大学、早慶上理ICUなどの難関私大、GMARCHなどの国内大学に合格しています。文系・理系の比率はほぼ半々で、とてもバランスが取れています。これはインターコースの中でも文理選択があり、またさらに学ぶ言語(日・英)を選ぶことができるため、進路の幅を広げられ、偏りがないのだと考えています。
岡部先生:
インターコースの2023年度の海外大学合格者は20名でした。北米・イギリス・ハンガリーなどの欧米地域、また中国や韓国、オーストラリアなどのアジア圏の大学に合格しており、実際に進学したのは7名で、半数は医学部への進学でした。中にはアメリカのWilliams Collegeに合格し、柳井財団の奨学金を見事に獲得することのできたインターコース生もいました。学校としては、今後も生徒たちの多様でグローバルな進路をサポートしていきたい考えです。
岡部先生:
生徒たちの幅広い進路をサポートするため、本校では「トリプル併願」が可能です。工学院大学への内部試験を受験し、入学の権利を保有しつつ、学校推薦により提携している海外大学への出願にもチャレンジできます。附属大学も海外大学も3月まで延納できるので、他の国内大学の受験にも備えられ、さまざまな進路に挑戦できることが最大のメリットです。
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明るくて開放的な空間の多い校舎内
帰国生入試は、中学・高校いずれも国内入試が年3回の実施、また他にも海外選抜入試(会場・オンライン)を実施しています。
★最新の入試情報はかならず学校ホームページをご確認ください。https://www.js.kogakuin.ac.jp/admissions/index.html
試験日程:11月、12月、1月
試験時間:各50分
試験科目:志望コースによる選択制
①「英語」+「面接」(注1) (注2)
②「国語」「算数」+「面接」
③「英語」「国語」+「面接」 (注1) (注2)
④「英語」「算数」+「面接」(注1) (注2)
※インターナショナルクラス志望は①➂④、先進クラス志望は②➂④から選択。
※「面接」は、本人及び保護者で行います。
※インターナショナルクラスを志望する場合は英語と日本語、先進クラスを志望する場合は日本語による面接を行います(英語での質問は受験生のみです)。
【英語資格について】
志望するコースにより、取得している英語資格のレベルに応じて英語試験に得点を換算します。
詳細は学校ホームページをご確認ください。
試験日程:11月、12月、1月
試験時間:各50分
試験科目:志望コースによる選択制
①「英語」+「面接」(注1) (注2)
②「国語」「数学」+「面接」
③「英語」「国語」+「面接」(注1) (注2)
④「英語」「数学」+「面接」(注1) (注2)
※インターナショナルコース志望は①➂④、先進文理・文理コース志望は②➂④から選択。
※「面接」は、本人及び保護者で行います。
※インターナショナルコースを志望する場合は英語と日本語、先進文理・文理コースを志望する場合は日本語による面接を行います(英語での質問は受験生のみです)。
【英語資格について】
志望するコースにより、取得している英語資格のレベルに応じて英語試験に得点を換算します。
詳細は学校ホームページをご確認ください。
試験日程:10月にシンガポール、上海の会場2カ所で実施
試験時間:各50分
試験科目:志望クラス・コースによる選択制
①「英語」+「面接」(注1) (注2)
②「国語」「算数(数学)」+「面接」 ※「面接」は、本人及び保護者で行います。
③「英語」「国語」+「面接」(注1) (注2)
④「英語」「算数(数学)」+「面接」(注1) (注2)
※インターナショナルクラス・コース志望は①➂④、先進クラス(中学)・先進文理コース(高校)・文理コース(高校)志望は②➂④から選択してください。
※インターナショナルクラス・コースを志望する場合は英語と日本語、先進クラス(中学)・先進文理コース(高校)・文理コース(高校)を志望する場合は日本語による面接を行います(英語での質問は受験生のみです)。
試験日程:11月に2回実施
試験時間:各50分
試験科目:志望クラス・コースによる選択制
①「事前課題1⃣に対する口頭試問」+「面接」(注1)
②「事前課題1⃣&2⃣に対すいる口頭試問」+「面接」 (注2)
※インターナショナルクラス・コースを志望する場合は、①を選択してください。
※先進クラス(中学)・先進文理コース(高校)・文理コース(高校)を志望する場合は、②を選択してください。
★入学の権利は7月まで保有できます。
第2、3学年につき各コース若干名募集。
詳しくは学校までお尋ねください。
【岡部先生に聞いてみた!試験のポイント】
■ 英語 ■
問題は5題構成になっており、まずリスニングから始まり、最後はライティングになっています。点数配分をすべてのパートで均等にしているため、特にライティングに関しては配点の比重が大きくなります。リーディングとライティングの対策は、しっかりとしておくことをおすすめします。
■ 面接 ■
海外での経験や本校の志望動機などを、自分の言葉できちんと伝えられれば、大丈夫だと思います。英語の運用能力やどんな考え方を持っているのかも見ています。
★何かありましたら、本校グローバル推進部(kogakuin-global@kgi.ed.jp)までお問い合わせください。
工学院大学附属中学の入試情報
工学院大学附属高等学校の入試情報
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「工学院」という名前が持つイメージと、SNSで拝見する学校発信のさまざまな情報がどうにも結びつかず、一体どんな学校だろうと好奇心をもって臨んだ取材でした。文系・理系という枠にとらわれず、生徒たちの希望(進路)を形にするカリキュラムや教育活動はすべてが挑戦! それは生徒さんたちを支える先生方が、おそらくこれまで多様な人生経験を積まれ、幾多の挑戦をしてきたからこそ、枠にはまらない視点や価値観を持っているのでしょう。そういう先生方の実践している教育は、とてもユニークです。生徒たちを囲む大人たちがかっこよくて、温かい! とにかくひと言では語り尽くせない、パッションと魅力の詰まった学校を、一度体感してもらえたらと思います。
夫の海外赴任に帯同し、家族でドイツとアメリカに合わせて5年在住後に、長女の帰国子女高校受験を経験。筆者自身も海外在住歴12年の帰国子女であることから、さまざまな視点から海外での教育や生活を通じて感じたことを中心に綴ります。
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